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これからの空き家の利活用

 駒ヶ根市の商工観光課 移住・交流促進室では、市内の空き家物件の掘り起こしと空き家バンクへの登録、そして空き家の情報発信に取り組んでいます。

 令和2年度に市内全域で空家等実態調査を行った結果では328件の空き家を確認しました。空き家は存在するものの「人に貸したり売ったりするのは抵抗がある」「いつか子ども達が帰ってくるかも」「親戚の誰かが使うかも」などといった理由で空き家を手放せず、活用の目処が立たない物件が多くあるのが現状です。

 そこで、地域の方々や協議会と連携しながら、空き家を掘り起こして空き家バンクの物件数を増やし、活用してゆく道筋を移住・交流促進室室長の吉澤淳さん(当時)と移住相談員の桑原さんに伺いました。


 

− 昨今は空き家バンクという言葉自体が認知されつつあり、移住検討者の方々からも「空き家バンクの物件を見せてくれませんか?」という問い合わせもあるとのことですが、実際に物件が空き家バンクに登録されるまでの流れを教えてください。

吉澤:まず物件オーナーさんには、空き家バンクの申請書に記入していただいて市に提出していただきます。基本的には所有者の方が相続をされていることとか、その辺りがしっかりなされていれば受付させていただきます。その後、こちらで書類審査ということで、その物件の登記とかを調べさせていただいて、中には土地とか家屋が別の名義の方もいらっしゃるので、そういった場合はまずは変更していただきます。それが通ると、現地調査ということで伊南不動産組合の方と現地を見て、評価させていただいて、所有者の方に査定書を送らせていただき、それで承諾頂ければ登録という流れとなっております。

※駒ヶ根市内の空き家バンク登録物件

https://www.city.komagane.nagano.jp/iju_teijusite/sumai/5358.html


 

− そもそも空き家バンクの認知度は高いのでしょうか?

吉澤:4、5年ほど前まではそこまで認知度は高くなかったですけど、今はもう空き家バンクって説明しなくても広まっている印象です。移住検討者の方はかなり空き家バンクの存在を理解されていらっしゃるかなと思いますね。

− すでに移住検討者の方に認知されている空き家バンクの存在ですが、逆に地元の方々の空き家バンクに関する関心はどうでしょうか?

桑原:窓口に来る方は、駒ヶ根に空き家があるんだけど、空き家バンクってどういう制度ですか?どういう流れで登録できるんですか?って聞きにきてくれる方々もいます。それと今は不動産屋さんから『この物件、空き家バンクに登録して』と持ち込んで頂ける物件もあります。空き家バンクに登録になると片付け補助の対象になりますし、市のサイトにも掲載することになりますので徐々に認知されつつあると思います。

 

− 具体的に空き家バンクに登録するとどんな補助が受けられるのでしょうか?

吉澤:今は空き家片付け事業補助制度で10万円の補助が、来年度からは空き家バンクが成約したときに奨励金というかたちで、所有者の方に一律で10万円出る予定です。これまで片付け費用の補助は出てたんですけど、いざ空き家バンクに登録しようとなると、隣地との境界で測量とか、あとうまく相続ができていない物件は司法書士さんにお願いするとか、そういう費用がけっこうありまして。その費用を考えるとオーナーさんも(話が)止まってしまうこともあるので、オーナーさん側にも奨励金というかたちで支援できればと。

※空き家片づけ事業補助制度(経費の2分の1以内(上限10万円)

https://www.city.komagane.nagano.jp/soshikiichiran/syoukoukankouka/iju_koryusokushinshitsu/2811.html

※空き家バンク成約奨励金(一律10万円 令和5年4月からの予定)


– 空き家のオーナーさんにとって空き家バンク登録のハードルの高さは、片付けや金銭的な負担があるようですが、それ以外の要因はあったりするのでしょうか?

吉澤:お金の面の負担と、片付けの体力的な不安(オーナーさんの高齢化)とあって、あと意外とあるのは、次の人がどんな人が来るかっていうことを不安視される方がいますね。これが意外と大きい要因で、今、辰野などが取り組んでいる「さかさま不動産」という事業は、うまくいけばこちら側から「この人に!」という選択ができるという、そういうことがこれからは必要になってくることもあるのかなと。こういう移住の取り組みも、移住後のミスマッチを防ぐ取り組みに繋がってくると思います。

 先日、福井県の件が物議を醸していて、Yahoo!ニュースにもなっていましたけど、地元の区長さんたちが集まって、移住者の方へ向けた「七か条」ありましたよね。都会風を吹かせるなとか、こっちに来たら馴染めとか。いろいろ七か条あったと思うんですけど、正直な内容だったと思います。要するに、その伝え方なんだと思いますが。


− 空き家オーナーさんへの支援がある一方で、空き家を手に入れた新たな家主へのサポートはどういったものがあるのでしょうか?

吉澤:空き家を買うと、たいていは水回りの改修工事が必要なことが多いので、空き家改修補助金ということで、空き家バンクの登録物件を購入した、もしくは賃借した方に経費の1/2または上限50万円、令和5年4月から行う予定があります。

 あとは、空き家なんでやっぱり何かしらの問題点はあるんですね。どんなに人気な物件もその物件までにゆく道が狭かったりとか、全てはパーフェクトに満足することはないので、何を優先するかを決めて、そういう相談を会話の中で整理してゆきます。

※空き家改修補助金(経費の1/2または上限50万円 令和5年4月からの予定)

空き家バンクの登録物件を購入または賃借した方の改修工事費用の一部を助成します。

 

− その他、移住を考えている方の心理的な不安、心配されていることとかあったりしますかね?

吉澤:やっぱり近所付き合いですね。でも、移住を考えている方は近所付き合いをしたくないっていう方はほとんどいらっしゃらなくて、かなり前向きな理解を示してくれる方が多いので。わりと世代関係なく、自治会も入ります、近所付き合いもしますよという。

桑原:あと、歳をとってからの移動手段。車社会じゃないですか、自分が車を手放したときは、どうするの?という話をされる方もいます。田舎暮らしに憧れて街中でないところがいいという人でも心配を持っておられる方がいますね。それはこれからの課題ですね。

 駒ヶ根市では空き家を売りたい人、買いたい人それぞれのサポートとなる制度を用意しています。詳しくはそれぞれのURLで確認いただくか、窓口までお問い合わせください。

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